祈り

ごきげんよう。ひとりです。

レトロといえば昭和を思い浮かべますが、アメリカのレトロもお洒落でかわいいです。ゲームの『Mother2』や、ドラゴンボールのオレンジスターハイスクールなんかがそれっぽいかな。悟飯がビーデルさんと出会う町ですね、サタンシティ。実写だと『バックトゥザフューチャー』の世界観が近い気がします。

私は特にMother2が大好きです。ビジュアルやBGM、セリフやシナリオ。世界観のすべてがドンピシャに好きです。スマブラのネスが主人公のゲームですね。RPGの中では割と短い方なので、始めやすいと思います。ドット絵のRPGってあまり好きじゃなかったんだけど、Mother2のドット絵は最高にかわいい。ちなみに私は小さいころにプレイしたドラクエ8でドルマゲストロデーン城がトラウマになりました。グラフィックが綺麗だと怖いものがちゃんと怖いです。

 

今回のひとりごとではMother2について話しますね。以前Mother2の考察をブログにあげている方がいたんですけど、その考察がすごく好きだったので、私の好きな部分をかいつまんで話していきますね。多分「Mother2 考察」とかで調べるとそのブログが出てくると思います。今回はそのリマインド代わりに。

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Mother2

まずMother2というゲームは、有名なコピーライターの糸井重里さんが「お母さんなゲーム」を作ってみたくて制作が始まったそう。温かくて優しくて時に厳しい、そんなゲーム。「マザーっていうゲームで育ったんだ」っていうのを作りたかったらしいです。

ゲームは平和だった世界に隕石が落ちたところから始まります。それまではなんでもなかった世界に悪者が現れるようになる。それをネスたちが退治していく物語です。でも悪者って言っても、「恩知らずな犬」とか「にくいカラス」とか、きっと今までもそこら辺にいたであろう動物たちが悪いように形容されて出てきます。ネスの主観ですね。つまり、ネスが今まで敵と思っていなかったものを敵として認識するようになったということ。

 

悪しき心

ネスがこんな風に敵対心を覚えてしまったのには原因があります。それは隣に住むポーキーという少年。簡単に言ってしまえば、ジャイアンみたいな子どもです。作中では「最悪の隣人」とまで称されています。隕石が落ちた夜、ネスはポーキーの下品なノックによって叩き起こされ、隕石が落ちた場所まで連れまわされます。それもポーキーの尻拭いという自分勝手な理由で。この瞬間からネスの心には悪意が芽生える。敵は自分の心の中にいたということです。Mother2のストーリーを大まかに捉えると、この悪しき心と向き合うことがテーマになっています。「自分の中にある悪しき心を制する手段」これをネスは旅の道中で見つけることになります。

 

では悪しき心を制する手段とは一体何でしょう。それはまさに「」です。陳腐に聞こえますよね。RPGなどはたいてい愛で世界を救っていますから。以前紹介した『moon』でもラブがテーマでした。でもただの愛ではありません。「愛されている自覚」です。

ゲームの中の世界は結構広くて、一度旅に出ると家に帰ることがなかなかできません。体力を回復するには高いお金を払ってホテルに宿泊するしかない。しかし頑張って家に帰れば、ママが大好物の料理を準備して待っていてくれます。なんと無料で回復できるんです。セーブするときには必ずパパが電話で「今日あった出来事」を聞いてくれる。ネスは世界一の愛され者です。きっと「あの瞬間」までネスは悪意にさらされたことがないんじゃないかな。ちなみに「あの瞬間」のポーキーはネスに、言うことを聞かないなら心が張り裂けそうなことを言うぞ!と脅迫してきます。

まだ子どもであるネスにとって、両親の愛は当たり前すぎて意識することができない。旅を続けるうちにようやく、自分が愛されて育ったことに気づくんです。ネスは、自分は愛されているんだと気づくことで、誰かを憎んでしまう悪しき心を克服します。一方で、ポーキーは結構可哀想な生い立ちです。母親は不倫して失踪するし、父親はポーキーのことを豚息子と呼びます。ネスとは対照的に愛されなかった少年。愛されて育ったネスですら悪しき心を持ってしまうので、ポーキーならなおさら寂しい心を抱いてしまいますよね。

 

勇気

RPGにおける「勇気」といえば、魔王に立ち向かう勇敢な心です。でもMother2では少し違います。ネスのママはネスが生まれた際に、「偉い人やお金持ちにならなくてもいいけど、思いやりのある強い子に育ってほしい」と言います。ここでいう強い子は、勇者みたいに力を持った子じゃなくて、勇気を出せる子。ネスは旅で出会う人々を次々に助けていきます。大人たちが抱える多額の借金を解決したり、カルト教団を解体したり、ゲームセンターにたむろする不良を立ち退かせたり。大人ならリスクを考えて関わるのは嫌だなと躊躇するところを、それでも僕は!と言って力を貸す。これこそが勇気です。ちなみに、『進撃の巨人』でエレンのママは、「エレンはこの世界に生まれてきてくれただけで偉いんです」と言っていました。お母さんの愛って偉大ですね。

 

 

最後に

Mother2は人間として大事なことを教えてくれるゲームです。本当の愛があれば世界を救うことが出来るかもしれません。悪しき心に打ち勝つことだって、勇気を出して誰かを助けることだって、なんだって出来るかもしれない。最後の最後、悪に押しつぶされそうになった時、ネスたちは「祈る」ことで世界中の人から愛されていることを自覚します。ネスたちが助けてきた人々が、今度はネスたちのことを助けてくれるんです。

2024年。年が明けてから胸が苦しくなるようなことばかり連日降りかかっています。こんな時でも笑顔になることは不謹慎ではありません。一刻も早く、笑顔を取り戻せる日が来ることを祈ります。