2月

地続き

ごきげんよう。ひとりです。

些細なことなのに忘れられないことってありますよね。よく覚えているなって自分でも感心します。私は特に受験生の時の記憶が多いです。毎日何かを学んでいる受験生には、毎日新しい気づきがあるんですよね。些細なことだけど、世界の見方が少し変わる瞬間自分の成長を愛でたくなる素敵な記憶です。自分の成長は自分ではなかなか気づきにくい。自分という人間は昨日も自分で、今日も自分で、明日も自分であり続けます。そんな地続きの自分を客観的に見られるようになるのは未来の話。今は不安で自信がなくても、精一杯に生きていれば、きっと未来の自分が褒めてくれることでしょう。

 

トリビア

些細なことの記憶で、“塩”にまつわる小話があります。世界史で中国を勉強していると、黄巣の乱って出てきます。唐の時代、財政難に陥った国が塩の専売を始めました。簡単に言えば税金を課したってことですね。その流れで塩の密売も厳しく取り締まっています。そのことに反発した塩の密売人、黄巣が起こした反乱を黄巣の乱という。世間知らずだった私は、「なんで塩?」って思いました。例えば、プリンが専売になっても困らないじゃないですか。プリンを食べられないってだけです。その感覚で塩の専売がいまいち理解できなくて。アホですよね。当時、ちゃんと調べたんですよ。調べるまでもないんだけど、塩がないと人間って生きていけないんです。そこで初めて塩を毎日摂取していることに気づきました。トリビアの泉でもへえボタン押されないレベルの些細な話。

私は世界史を勉強していて、こういう引っ掛かりがいっぱいありました。引っ掛かると気持ち悪くて覚えられないんですよね。世界史の教科書を作った人ってすごいです。何千年と続く世界中の歴史をあんなコンパクトにまとめています。無駄のない文章。でも抽象化されているからこそ、たくさんの「なんで?」が湧き上がってくる。きっと「なんで?」を自分の言葉にできた時、記憶が定着します。まあ受験が終わればほとんど忘れちゃうけど。受験生、頑張れ。

 

国語

受験生の頃、国語で記述式の試験を課す大学を志望していたこともあって、それはもういっぱい文章を書きました。慶應の小論文もそう。よく慶應だけに軽量入試とか言って揶揄されますが、私は小論文をたくさん書いたことが人生の糧になっていると思っています。そして国語力を高めるのに受験英語がすごく役に立つ。日本の英語教育は遅れていると正直思います。大学受験では読み書きに重点が置かれ、英語を聴く話すという一番身について欲しい能力の習得は後回しにされます。これはなんでなんだろう。今でもよくわかりません。ただ、英語を読む書くという能力は、実は日本語の読み書きの精度をグンと飛躍させます。

日本語って世界的に見たら結構難しい言語です。大人でも助詞がおかしかったり接続詞を間違えたりして、魔の文を生み出します。あれ、『パプリカ』を見ている時と同じ症状が出ますよね。受験英語では文の構造を嫌というほど勉強させられる。これって日本語の勉強の一環なんじゃないかなと、最近になって気づきました。英語は助詞や接続詞の使い方が解りやすいし、使い方を間違っていると点数をもらえません。なので、英語を勉強していれば自然と日本語が正されていきます。「英語」と「国語」って科目として分けて勉強していたけど、一緒にして勉強していたら何か違ったのかもしれませんね。当時の自分は気づいていなかったけど、間違いなく、両方での学びが作用し合ってそれぞれの力が伸びていたと思う。ガムシャラに勉強していたあの頃の自分を褒めてあげたいですね。

 

小論文といえば、先生が言っていた言葉で今でも覚えているものがあります。「本気で受かる気があるなら絶対に最後のマスまで埋めろ。」当時はわかるような無茶なような、そんな気持ちで聞いていました。だって、実際にマスに落としてみないと残りの文字数なんて正確にわからないから。1マス余ることもよくある。小学生のとき授業中にトイレ行きたいって言ったら、授業が始まる前に行っておきなさいよって言われたみたいな、そんな気持ちだった。でも今ならわかります。日本語って言い換え表現が豊富にある。語彙もそうだし、接続詞や文末もそう。マスが余るなら最後の方の文章を言い換えて調整すればいいんです。何より、採点する側の心証に影響します。マスを全部埋めている方が、切羽詰まっている感じが見て取れますよね。逆にマスを余らせてあるとどこか余裕を感じる。根性論に聞こえるけど、なかなか説得力のある言葉でした。

 

 

最後に

受験生の頃を思い出して、やってみたいことが次々に浮かんできました。慶應の小論文は一つ目の設問で要約を求められます。頭を鍛えなおすのに自分の好きな作品を要約してみたい。そう思いました。やってみたい要約300。でも要約するだけじゃ物足りない。同時にPowerPointの使い方を勉強したい。そう思い至ったので、要約した文章をデザインしてここに貼ることにしました。壁打ちみたいなものです。見て頂ければ光栄です。

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ひとりごとより。/『恋文日和1』ジョージ朝倉