優しい小心者

ごきげんよう、ひとりです。

最近、『大神』ってゲームで遊んでいるんですが、モブキャラに優しい小心者が出てきます。ヨイチという名の弓の名手。彼の放つ弓矢のおかげでストーリーが進んだり、主人公に幸福が舞い込んだりします。「よくやった!」と褒めてあげたいところですが、当の本人は「偉いことをしてしまった、どうしよう」って感じで、犯人探しが始まってしまう前にトンズラをこきます。そこは「俺の手柄だぞ、感謝しろ」って傲ってもいいところなのに。彼は小心者だったんですね。そのいじらしさに微笑ましく思いました。

小心者といえば、ふかわりょう小心者克服講座もありますね。一時期めっちゃハマりました。今でも好き。微笑ましいです。

 

主人公

少年漫画の主人公って、みんなどこかのネジがぶっ飛んでいます。悟空とかナルトとかゴンくんとか。天然というか愛すべきバカというか、その抜けているところが面白いんですよね。笑っちゃってついつい許しちゃうの。そしてまた、ネジが抜けている故に彼らの正義は怖いくらい一直線で、いつも猪突猛進しています。強い奴と闘いたいとか、友達を里に連れ戻したいとか。自分の正義のためならなんだってする、素直と正直の究極権化です。どんな自己犠牲も厭わない。ゴンくんなんて、自分の腕を爆破させたり罪のない女の子を人質に取ったり、挙げ句の果てにはゴンさんになってしまうほど。

それでも、完全無欠にはなりえない彼らを、誰もが大好きになってしまいます。これは「完全無欠じゃないから」なのかもしれません。笑って許せちゃうようなおバカなところがあって、素直で正直で、闘うと強い。完全無欠ではないけど、最強じゃないですか。私の友達にもまんま主人公気質の子がいてね、私もその子が大好きだし、みんなに愛されています。その子のことを嫌う人がいるなら、それは嫉妬しているんじゃないかって疑うほど。マジで最強です。私もその子みたいになりたくて、中学生の頃はその子からたくさんのことを学びました。夏に31のアイスを二人で食べたんですけどね。先にアイスを受け取ったその子は、私が来るまで一切食べずに待っているんですよ。もう手とかドロドロになっているの。ツッコミどころあるけど、優しくていじらしいですよね。本当に主人公みたい。

でね、大学生になって色んなコミュニティを経験してから気づいたことがあります。こういう主人公気質でいると、あらゆる人間関係を上手く切り抜けられる。バカを演じるっていうと明け透けな物言いになりますが、プライドの端っこを少し切り捨てて「おバカさんだな、仕方ないな」って思われるように振る舞っていると、結構円滑に物事が進みます。もちろんそれを嫌う人もいるだろうけど、全ての人に好かれるなんてそもそも無理な話なので。あとは自分のプライドと相談ですね。許しちゃいけない線はちゃんと決めておくこと。自己肯定感を保てる範囲でやるといいです。ちなみに私が新卒で入った会社の女性社会では、一部の意地悪な人には通用しませんでした。でも今まで通用しなかったのもその一人や二人だけです。みんな誰もが自分の人生では自分が主人公なので、常に主人公マインドで生きていてもいいですよね。

 

幸福を願う

街で見かけた知らない人や、こちらが一方的に少しだけ知っているという人に、思わず幸福を願ってしまうことってありませんか。その人が可哀想に見えたわけではなく、ただなんとなくその人が悲しんでいないといいなって。ラッコの飼育員をやっているおじさんとか、人を傷つけないようにと教鞭をとる傷だらけの倫理学者とか。

数年前に電車であるおじいさんとおじさんを見かけて、今でもその時の風景を覚えています。きっと親子だったと思うんです。おじいさんの方がおじさんのことを優しい眼差しで見つめていて、いくつになっても親は子を愛しいと思うんだなって。この二人が幸せでいるといいなって、勝手ながら優しい気持ちになりました。ラッコを愛しそうに見つめるおじさんもそうだし、誰かのためを思って倫理学を研究する大学教授もそう。その人たちの背景は知らないけど、ある場面を切り抜くと間違いなく誰かに愛情と優しさを注いでいて、そんな人が悲しい思いをしていて欲しくないなって思うんです

もちろん、これはある種の偏見に過ぎないので、彼らも誰かにとっては良い人だけど誰かにとっては悪い人であるかもしれません。でも私はそういう背景を全く知らないし、私が幸福にしてあげるわけでもないので、そこまで考えなくていいかなって。私が目撃した限りで誰かに注いでいた愛情や優しさが、その人に還元されていることをただ願うだけです

 

 

最後に

「やってみたい要約300」。今回で『恋文日和』編は最後になります。要約なので、情緒という情緒は削がれています。エンドもわからないようにしました。是非、ご自身で物語の全貌を見届けて欲しいです。可愛らしい物語になっています。そして次回からは、自分は傷つきながらもみんなが傷つかないようにと、心を込めて書かれた倫理学の本を要約していこうと思っています。

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ひとりごとより。/『恋文日和②』ジョージ朝倉